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2.一応の証拠
(1)一応の証拠
本条では、『受信確認はメッセ−ジが受信されたことの一応の証拠となる。』旨を規定している。
これは、受信者が伝送されたメッセ−ジについて受信確認を行った場合には、例えば、当該メッセ−ジが受信確認をした時点とは異なるときに到達した(あるいは、受信確認をしたのは別途のメッセ−ジであった)とか、または、伝送中の障害により到達していなかったという事実が証明されない限り(伝送されたメッセ−ジの受信という事実の不存在を推定させるような事実の立証がなされない限り)、受信確認という事実があれば、当該受信確認をもって、メッセ−ジが受信されたという一応の推定をしようとする取扱を、本協定の当事者が承認しようという趣旨である。
(2)メッセ−ジの証拠能力
EDI取引に関して当事者間において紛争が生じ、伝送されたメッセ−ジの受信の事実又は時期がその争点となった場合には、受信確認に係るデ−タが、受信の事実又は時期を証明するための「証拠」として、裁判所等に提出されることが考えられる。
民事訴訟法では、一定の証拠資料を事実認定のために利用しうる資格は「証拠能力」といわれている。わが国の民事訴訟法においては、「証拠能力」に関する特別な制限規定は設けられていないので、どのような証拠資料でも事実認定の材料として裁判所に提出できることとされている。
しかし、本条に関する「注釈書」において特に注意を喚起しているように、国によっては、取引当事者が訴訟手続にある種の証拠を提出することについて予め合意(証拠能力について合意)していたとしても、例えば、取引先国の証拠法により、これが承認されない場合も想定される(注)。このため、取引先国の法制(証拠法)には、十分注意する必要がある。

 

 

 

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